人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2020年12月 1日

欲求の段階説(ビジネスサプリメント745号)

マズローの欲求5段階説は有名な理論である。低次の欲求が満たされない限り高次の欲求は満たされないというものである。
まず①生理的欲求(生きていくための根本の欲求)②安心安定の欲求(安全でありたい、安定したいという欲求)③社会的欲求(他者と関わりたい、組織に帰属したいという欲求)④自我の欲求(他から認められたいという欲求)⑤自己実現の欲求(自分の能力を発揮し、成長したいという欲求)に分かれ次元が上がっていく。
実は筆者も「なるほどなぁ!」と思いを新たにしたことがある。それは4半世紀前の「阪神淡路大震災」である。ガス・水道・電気は壊滅、多くの尊い命が奪われた。まずは「生理的欲求」だった。水が出ない、ガスがつかない、電気もつかない状況、食品もままならない。多くのボランティアの方々からの炊き出し、弁当支給などお世話になった。また他府県からの給水車で随分助けられたのである。まさに「生理的欲求」の次元である。インフラも回復してくると今度は「余震はこないか」「病気にならないか」など安心安定の欲求である。徐々に落ち着いてくると他者と関わりたい、会社や地域との連携や関わりを持ちたいという「社会的欲求」になってくる。「自我の欲求」や「自己実現」の欲求はかなり後になる。
人間一つの組織にどっぷりとつかると、おそらく「ユデ蛙」になってしまうことが多い。逆に言えば属しておれば「安全」だと思う社会的欲求の帰属意識が強く働く怖さがある。
今の時代何が起こるか分からない。何時大震災が起こるかも知れないし、倒産するかも知れない。現に予期せぬ「コロナショック」が起きた。この意味での安全安定や社会的欲求は偽りのものと気付かなければならない。偽りのものからは高次の欲求にはつながらない。筆者も一つの組織から離れて再びこの思いを強く持ったのである。
今の時代、組織から離れることはマイナスではないし、要は閉塞状態になっても「自分のビジョン」を明確に持ち、ひたすら進んでいくことこそが高次の欲求に近づくのではないだろうか。

2020/12/01 07:46 |

2020年11月 1日

シンクロ(ビジネスサプリメント744号)

最近本当にびっくりしたことがあった。外部のお世話になっている方だが、お互いについつい連絡を取り合う機会が少し途切れていたのである。いきなりお電話するのもどうかと思い、まずメールを送ろうと作成していた途中に着信メールが届いた。何とその着信メールは私がメールを送ろうとしていた方なのだ。
私のメールは途中だったので、まず保存し着信メールを読み、再度中途から変更文を入れ送信した。おそらく相手の方もびっくりされただろう。そして、その後お電話を差し上げお目にかかることになったのである。誠に不思議としか言いようがない。相手の方とお目にかかった時、その方も驚いておられて、よりお互いの親近感が増してきたのは言うまでもない。
このようなことを心理学者ユングはシンクロニティーと呼んでいる。日本語で言えば「偶然の一致」とでも言えるかも知れない。そういえば今は「アーティスティックスイミング」と名称が変わったが「シンクロナイズドスイミング」は
まさに演技の一致を競うスポーツである。日本を世界のシンクロ界の強豪に育て上げた立役者、井村雅代さんの本を読んだことがあるが、シンクロのあの美しさを出すため選手達は想像を絶する訓練をされているのだ。
日頃の活動においてもシンクロがある時は必ず上手くいくケースが多いような気がする。ビジネスでもこの考えは大切ではないだろうか。初対面の相手の方とお話しする時も、第一印象で決めつけて思い込んではいけない、思い切りシンクロすることが大切だ。要は相手目線を意識して振る舞うことである。子供服売り場の販売員は子供さんの目線までしゃがんで話をする。相手の方がテンポの速い話をされる方だったらこちらも合わせよう。私はご支援先のメンバーと個別ヒアリングする時は相手の方のテンポに必ず合わせるようにしている、まるで演奏会の「コンサートマスター」のように。そうすると不思議に相手との話が弾み交流できるものだ。かたくなに自分の形を崩さない方もおられるが、そこはもう少し柔軟性を持ち、少し肩の力を抜くと、相手の方とのシンクロが出来るのではないだろうか。常にシンクロを意識してヒアリングを実践していると、相手の方の見えないものまで見えてくることがある。

2020/11/01 08:33 |

2020年10月 1日

HOWよりWHY(ビジネスサプリメント743号)

現場の事故やミスをなくすためには、ルールづくりが絶対に必要なことは言うまでもない。かなり前だがある大きな造船工場を見学した時、必ずヘルメットを被り安全靴を履き、指差し呼称で「右よし!」「左よし」と徹底されていたのを思い出した。この工場はメンバー全員が作業現場で必ず「何故?」を感じることありきが癖になっていたのだ。
また以前お菓子の製造工場に訪問した時、「何故、製造工程ごとに静電気が帯電するのを防ぐ装置があるのか?」という疑問を持った方とお話ししたことがあった。引火や爆発の恐れのある危険物を扱うメーカーならいざ知らず、食品の製造工程で「何故なのだろう?」と思われたようだ。これは「毛髪の混入を防ぐ対策の一つであり、乾燥した室内ではいくら帽子を被っても万が一床の上に落ちた毛髪があれば静電気の作用によって60~70cmの高さまで吸い上げられて製品に混入してしまう可能性があるから」だと分かったと言われたのを思い出した。まさにHOWよりWHYの考え方を持っておられたのである。
最近あるご支援先を訪問させていただいた時、従業員の方々全員が笑顔で
「いらっしゃいませ」と気持ちの良い挨拶をしていただいたことがあった。
誰も挨拶すらされない事業所を見かけることがあるが、誠に情けない状況と言わざるを得ない。
「挨拶」とはこころを開いて相手に迫るという意味がある。挨拶をされたご支援先は単にマニュアル通りに挨拶するのではなく「どのように言うのか?」よりも「何故言うのか?」という事を全員が理解し徹底されていたのだ。
単なるマニュアル型の挨拶では気持ち良くはならないのは言うまでもない。
人を育てる時も全く同じではないだろうか?HOW型の教え方はなかなか考える力が付かない、今はWHY型の育成法が求められている。「教えない教え」という言葉があるように、これは「何故そのようにするのか自分で考えて行動させる」という教え方なのだ。
How-to本を読んでも実践に結びつかないことが多い、「問題意識=WHY」を極めることが今の時代は最も大切ではないだろうか。

2020/10/01 08:14 |

2020年9月10日

変わる(ビジネスサプリメント742号)

以前ある本で読んだことがあるが「肝臓型タイプ」と「盲腸型タイプ」の人がいる。「肝心要」という言葉があるように、肝臓という臓器は心臓と共に人間にとってはなくてはならない臓器である。正常に機能しておればその重要性を感じることもないし、痛みなどの自覚症状も大変薄い臓器である。しかし一旦機能障害になると命にかかわってくるほど重要な臓器であり、絶対に必要不可欠でなくてはならないものだ。
もう一方の盲腸は正式には虫垂突起と呼ばれ、あってもなくても通常は体には全く影響がないそうである。しかも炎症を起こすと切り取らねばならないし、放っておくと腹膜炎を併発し切り取らねばならない真に厄介な臓器である。
人間の体を組織として見た場合、本当に必要とされる人はまさに「肝臓型タイプ」ではないだろうか。目立たないがポイントのところでしっかりとリードしサポートしてくれる人が必要なのである。
有事の時(今の時代は有事と言っても過言ではないほど激動の時である)
はより確実に成果を出せる仕事が出来る人が求められるのである。
例えば「土砂振りの雨の深夜の高速道路で車が故障した、その時に駆けつけてくれるJAFの車」のような人が「肝臓型タイプ」である。「盲腸型タイプ」は居ても居なくても良いのである。いや有事の時はかえって炎症が拡がり命にかかわるので居られては困るのである。どちらの人間が必要とされるかは論を待たない。「肝臓型タイプ」をいかに多く輩出できるかが組織の命運を決する。
ここまで書けば不況になり真っ先にリストラされるのは「盲腸型タイプ」であることはお解りいただけるだろう。しかし必ずしも中高年の人が「盲腸型タイプ」ではない。中高年の中にも輝く能力を持っておられる方が沢山おられる。
もし自分が「盲腸型タイプ」だと思う方は、今からでも決して遅くない、組織に貢献出来る人に変わらなければならない。
変わることのキーワードは「何とかなる」ではなく「何とかする」という信念を持ち、例え上手くいかなくても「実践」に移し、そのことを改善継続し続ける事ではないだろうか。

2020/09/10 13:17 |

2020年9月 1日

癒しか、励ましか(ビジネスサプリメント741号)

悩んでいる方に接すると「癒し系」か「励まし系」にするのか、そのバランスに迷うことがある。
「励まし系」になると「前を向いて可能性を信じて頑張ろう!」となるが、「分かっているけど、それではどうすれば良いの?」となってしまうことが多い。
どれだけ具体的に述べても相手の方にとっては、それぞれに考え方も違うし、やり方も違うので公式があるわけではない。
「癒し系」になると「まぁ、あせるな!今迷っているのはあなただけではない、一息入れて気持ちを変えてみよう」となる。そうすると「そうかここは腰を据えて」と感じられる方も多いかも知れない。人の受け取り方は置かれている状況や、その方の性格によって違うものである。
人間は癒されることの方が気持ちは楽になるし、どうしても癒され続けたいものだ。私も肩こりがひどい、特にパソコンに向かうと特にひどくなるが、時々
マッサージに行くと、その時は本当に楽になるが、根本的な解決にはならない。
それでは体を動かしているか?朝は早く起きてジョギングやウォーキングでもしているか?簡単なストレッチでもしているか?となると殆どしていない。
対症療法ではダメで解決はしない。怖いのは癒し系に逃げ込んでしまう事、
そうなるとそこから抜け出せなくなるのではないだろうか。まるで「ユデ蛙」になってしまっては大変、適度な癒しは必ず自分自身の励ましにつながると信じたい。
要は他人事ではなく「自分事」としてとらえること、主語が「他人ではなく自分」であるという「自立心」が大切なことは言うまでもない。
言い過ぎかも知れないが「人事を尽くして天命を待つ」のではなく「人事を尽くして天命をつかみとる」ような「癒しと励まし」のバランスが求められるのではないだろうか。

2020/09/01 08:42 |

2020年8月 1日

すごい人(ビジネスサプリメント740号)

先日ある新聞の読者投稿欄に「命がけの仕事、今日も元気に」という内容が掲載されていた。ご多分に漏れずこの方も50歳代でリストラされたそうだ。退職金や失業給付などで食いつないでこられたのだ。何度もハローワークに通われたそうだが、面接の結果は思わしくなく辛い日々が続いたらしい。ハローワークの担当者に「何故、何処が悪いの?」と不採用の理由を聞いてみたが「あわてず、ゆっくり構えましょう。必ずあなたにあった会社が見つかりますから、あきらめないように」と言われたそうだ。その後努力の甲斐あってやっと警備保障関係の会社に就職が決まった。この方は「明日への希望と勇気が全身にみなぎった」と述べられていた。中高年まっただ中の人であり、心から応援したいと思う。
その方曰く「安全と責任と信用が大事、賃金は思いとは少し違ったが、これほどやりがいのある仕事は他にない。今日も元気に無事故でがんばろう」と。筆者はあるべき論や単なる精神論を述べることが多いが、「この人はすごい!」と思った。読んでなんだかさわやかな感じがした。おそらく無職の空白の時期は何かアルバイトでもされていたのだろう。時には落ち込んだり、悩んだりされたことと推察する。しかしあきらめずによくこぎつかれたと思う。この方を採用された会社も立派だが、不採用にされた会社は「何故だろう?」と感じる。
単なる雇用のミスマッチなのか?「何でも鑑定団」という長寿番組のレギュラーである中島誠之助氏ならこの方に「いい仕事していますね」と言われるだろう。
現在悶々と悩んでいる方、迷っている方、あきらめかけている方も大勢おられるかと思うが、こんな方もおられるという事を知っておいて欲しい。
最後にどうしてこんな方がリストラされるのか?良い人材が去って、歳は若くても意欲もなく会社にぶら下がっている人材が残っても「人財」にはならないだろうし、人を大切にしない前の会社の経営姿勢が理解できない。

2020/08/01 08:16 |

2020年7月 1日

プロセスと成果(ビジネスサプリメント739号)

成果主義人事が叫ばれて久しいが本当に定着したという事例が少ないのは「何故だろう?」
大相撲を事例に考えると解かりやすい。負け越せば地位は落ちるし、十両から陥落すれば「関取」ではなくなる。横綱でも成績が悪ければ引退勧告が待っている。誠に厳しい「成果主義」の代表でもある。企業の成果主義が結果的にモラールダウンを引き起こし、競争力弱めたという類の事例が多いのは何故だろうか。おそらく運用に問題がある事は間違いない。成果主義は本来、賃金全体のパイが増えない中で、いかに社員の成果配分を公平にし、能力を引き出そうとしたものである。
以前ある新聞に「ブブカの原理」という言葉があった。あの棒高跳びで有名なブブカであるが、次のような内容である「短期間に目標を上げすぎるから貴重な人材を潰してしまう、会社も個人もブブカの原理を学ぶべきだ、棒高跳びのスターだったブブカは1cm刻みに世界新記録を更新し続けた」。
なるほどと思うが組織ではそうはいかない面も出てくる。個人プレーの集合体が組織として機能するという考え方が出来ておれば問題はない。低い目標に基準を合わせると絶対評価が難しくなるし、無難に仕事をするという風土にもなりかねない。アメリカだったら評価が不満なら即辞めるが、日本では居残り組織に「よどみ」が残り足を引っ張る傾向がある。
大切なポイントはトップと幹部のベクトル合わせが出来て、しかも上司と部下の価値観が合い、お互いに納得出来る目標値になっているのか?「よし、やろう!」という気持ちを持たせられるものであるかに尽きる。そのためには上司が部下の仕事のプロセスを如何に把握し見ているか、またどう修正しているかが大切ではないだろうか。
結果が全てであるが、プロセスが間違っていなければ必ず結果とつながるものと信じて取りくみたいものである。

2020/07/01 07:49 |

2020年6月 1日

気づきをナビゲート(ビジネスサプリメント738号)

先日日経新聞の別冊に、野球評論家の権藤博氏(81歳)の面白いお話しが掲載されていた。氏は78歳で日本代表に参じるなど「生涯投手コーチ」の道を歩んでこられた。無理せず我慢せずという自然体が元気の秘密らしい。
中日ドラゴンズ入りした61年に35勝、翌年も30勝で連続最多勝、登板過多で肩を痛め、短い選手生活に終わった経験から、現代野球の継投理論を編み出した。98年横浜(現DeNA)を率いて38年ぶりのリーグ優勝、日本一。2017年ワールド・ベースボール・クラシックで日本代表コーチ、19年に野球殿堂入りを果たした輝かしい経歴の持ち主なのだ。
中でも特に面白いエピソードが掲載されていたのでご紹介する。
新鮮さを保つ秘訣はと問われて「いつもハッとする瞬間を探していることかな。指導の勉強で米国のマイナーリーグに行ったとき、学校を出たての子が、何回練習しても出来ないのをみかねて、教えたんです。すると向こうのコーチに言われました。<ゴンドウ、教えてくれるのはありがたいが、ヤツのためにならないからやめてくれ>と。人に教わったことは忘れるが、自分でつかんだことは忘れない。だからオレは選手が自分で気づくのを待っていたんだ」と言われたそうだ。「それを聞いてハッとしましたね。教えるだけがコーチじゃない。あれ以来、ハッとする瞬間との出合いが生きがいになりました」と掲載されていた。そう「気づき」それを「実践」することが最も大事なことなのである。
即ち「教える」とは「気づきをナビゲートする」ことではないか。
私も「気づき」を大切にしているが、答えを教えてもらったことは「やらされ感」、自分で気づき答えを見つけたことは「達成感」につながるのではないだろうか?「気づき」の講演会をしていると、言うことは分かるが「時間」がかかるので、なかなか出来ないというご意見をいただくことがある。しかし時間がかかると諦めてはダメ、「気づかせる」根気と熱意が求められるのではないだろうか。

2020/06/01 08:30 |

2020年5月 1日

上が言っているから(ビジネスサプリメント737号)

「上が言っているから」という言葉は上司に弱いビジネスパーソンの心理を巧みに利用する言葉である。
「虎の威」を借りて自分の意見を通す目的で使われることもままある。だが「主体性に欠ける」と批判されるリスクもあり、実際に上司と打ち合わせをしたうえでこの言葉を使う訳ではないので、実名を出さずに「上」という言葉が出てくるのだろう。自責の世界か、他責の世界か、この言葉は明らかに「他責」の世界である。
あなたは職場で「上が言っているから」という言葉を使っていないだろうか。
また周りの人達もこの言葉を使っていないだろうか。「上がこう言うが、自分はこうだと思う」と言い切れるだろうか?「上がこう言うから自分には責任はないよ」の気持ちがありはしないだろうか?そのような組織は破綻が迫っている可能性大であると言っても過言ではない。
昔私が言ってもいないのに「店長が言っているから」というケースがあった。
誠に無責任な言葉であり、組織の赤信号点滅状態だった時もあった。
もう今ではあまりないがりん議書に印鑑を押す時と、保証人として印鑑を押す時は同じ気持ちや信念で押しているだろうか?りん議書は全員の責任であるし「赤信号みんなで渡れば怖くない」の心境が働かないだろうか?ひるがえって保証人は自分の責任という気持ちが働くものだ。「上が言ったから」はまさにりん議書的感覚ではないだろうか。「自分はこう思う!」と「上の言葉」を咀しゃく出来る人は必ず部下に信頼されるし、組織人として求められる人ではないか。
あなたの職場で「上が言ったから」と言う言葉が出たら、組織は「赤信号点滅」状態かも知れない。そのような状態が続けば、覚悟を決めて打ち破らなければいけない。
他責から「良い提案や気づき」が生まれないし、ましてや「改革」等とても出来ないことを肝に銘じよう。

2020/05/01 08:36 |

2020年4月 1日

信号の錯覚(ビジネスサプリメント736号)

以前に次のような話を聞いた。ビジネス上の打ち合わせのためお客様が発注依頼先を訪問された時のことである。最寄り駅から工場までかなりの距離があったのでお迎えの車に乗せてもらったそうだ。その途中に信号があり、信号の「赤」が異常なほど長かった。そのお客様がお迎えの方に「この赤信号は随分長いですね!」と言われた。そうするとお迎えの人も「やはり、そのようにお感じなりますか、実は訳がありまして、この道はご覧の通り狭いでしょう、今までは信号の間隔が短かったために、赤に変わりそうになると無理に突っ込んでしまう車が多く、事故が絶えなかったのです」と言われ、そこでもう少し赤でゆっくり待たそうということで、赤信号の時間をあえて長くしたという事だった。
「しかし、余計に事故が増えました、長く待たされるとドライバーはいらいらするのでしょう、信号が変わる寸前に待ちきれず、突っ込む車が増えて事故も更に多くなったそうです」とのこと。
次は警察の方に聞いた話だが「青信号で渡るのに小さな子供さん達に事故が多い」と言われた。話は単純で「青は大丈夫」と思いこみ、左右を確認せずに渡ってしまい、右折や左折の車を殆ど意識しないので巻き込まれる事故が多いらしい。
初めの話しは「ドライバー心理」を考えずに、帰納法的に考えた結果だからそのような現象が起きたのだろう。では今度は逆に演繹法的な発想をしてみて、
長くしたらどのようになるかという仮説を立ててみることだ。そして検証すると「やはりおかしい」という事が解かる。そうすると再度仮説を立てていくという事が欠落していたのだろう。
2つ目の話しも「青は渡れる」と思いこみ念のため左右確認が必要と教えられていなかったからかも知れない。
我々もビジネス上において、この事例に近いことに遭遇していないだろうか。
お客様や、相手の問題提起に対して現象面だけを改善して解決と思ったら大間違いである。
「相手の心理や行動まで読み取る力」をつけていくことが大切である。

2020/04/01 08:49 |

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